8

マルラビットアイ

成熟初期はエグイが、完熟時は極上の美味しさに激変
収穫時期 7月下旬から8月中旬
果実サイズ
甘味レベル
酸味レベル
育てやすさ
収穫量
栽培開始時期 2006年
栽培本数 27

【総評】

ニュージーランド生まれのマルは、良くも悪くもいくつもの特徴があり、評価が多面的にわたりとても個性的な品種。クセのある品種だが、多収、育てやすさ、完熟時の美味しさなど長所も数多く、評価が分かれる品種だ。

 

【サイズ・美味しさ】

サイズ的には、ラビットアイ系では大粒に属する。タイタンウィトゥコロンブスマルがラビットアイ系では大粒と言って差し支えない品種。特に夏休みが始まる7月20日頃は特に大型サイズが出現する。

美味しさは、これも特徴的だが、成熟初期は、エグイ、エグミが強い。ティフブルーもその傾向があるが、マルの方がもっとエグイ。お客様が食べ比べをしているときに、エグミのあるマルに遭遇したときの反応が面白い、、、「何これ????、酷い味」と顔をしかめる。しかしながら色づき始めて1週間から10日で食味は激変する。最上級の美味しさに変身する。

美味しくなるのに時間を要するので、マルはお客様の目につくところに配置せず、奥まったところに配置するようにしている。奥まったところまでお客様が足を運ぶのはお盆以降なので、マルも完熟しているからだ。

あと、食味ではないが、果実品質はあまり良好とはいえない。猛暑が1週間から10日続くと、果実がシワシワになってくる。潅水を十分にしてもシワになってしまう。下の写真1枚目をよく見るとシワになっているものが見つかる。

(2021年情報)
この年は、ことさらシワがヒドイ状態。梅雨明け直後は、通常シワはできないが、この年は、シワが多発(添付した最後の写真参照)した。株の樹勢が弱っていることはなく、例年通り元気であるにもかかわらず、シワが多発したのは気になる。この品種の経年劣化、寿命に関係するのかもしれない。

 

【収穫量・育てやすさ】

収穫量は非常に多い。これがマルの特長の中でもっとも際立っていると言っていいのではないだろうか。通常ラビットアイ系は、成木で8キロ前後の収量だが、マルは10キロは軽くいける。収量が多かった年の翌年は、樹勢が弱って収量が減ってしまう品種が多い中で、マルは10キロ以上実を付けても翌年も元気いっぱい、と頼もしい。

育てやすさは、申し分ない。前述のように猛暑続きで果実品質は劣化してくるが、樹勢自体はまったく衰えることはない。ほとんど枯れることはない。

(2022年追記)
個性が強すぎるので、本数を増やしていない。栽培管理もほとんど手をかけていないが、まったく樹勢が衰えない、ましてや枯れるなんてことは考えられないくらい丈夫で剛健。こういう力強い品種は淘汰されない。

 

【収穫期】

7月下旬から。成熟のスタートはラビットアイ系の中でもっとも遅い方。ただ前述のように猛暑が続くと果実がシワシワになり、やがて落果することになるので、意外に長持ちしない。お盆までは大丈夫だが、8月下旬までの収穫は期待できない。

 

【最後に】

ニュージーランドで同時に発表されたラヒも同じくプレミアの実生から選抜されたもので、兄弟品種といえる。兄弟品種なので、共通点も多いが、まったく異なるところも多く、比較すると実に興味深い。ラヒとマルの比較は、ラヒの品種紹介の中にコラムとして解説するので、ラヒのページを参照ください。
→ラヒのページへ

(1991年にニュージーランドで発表)

 

↑ シワができやすい。

{69ED680F-D250-4259-840C-9E05F998D09F}

ラビットアイ

前の記事

バルドウィン
ラビットアイ

次の記事

ディソット