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ブライトウエルラビットアイ

熟期前半スッキリ、後半マッタリした甘さの極上品種
収穫時期 7月上旬~7月下旬
果実サイズ
甘味レベル
酸味レベル
育てやすさ
収穫量
栽培開始時期 2006年
栽培本数 118

【総評】

ほとんど欠点らしいものが見つからない優良品種。ブルーベリーの世界では、標準品種の位置づけ。際立っているのは、熟期後半の極上の美味しさと、剛健で育てやすいこと。

 

【サイズ・美味しさ】

サイズは中程度で、この点については特に優位性はない。

美味しさについては、成熟初期からまったく酸味を感じさせないスッキリした甘さで、安心してお客様に食べていただける。ブルーベリーも完熟した方が美味しいに決まっているが、このブライトは色づいてすぐに食べてもらっても美味しいのが観光農園側としては有難いし助かる。

ただ初期の頃は、食味の中に「雑味」のようなものが感じられ、極上の美味しさとまでは言い難い。これが熟期後半(7月下旬以降)になるとその美味しさが激変する。まず先ほどの雑味がなくなり、スッキリした甘さがマッタリした甘さになって、なんと表現したらいいのかわからない「極上フルーツ」の美味しさになる。

熟期後半(7月下旬以降)は、ラビットアイ系のラヒバルドウィンといった晩生品種も出揃ってきて、ラビットアイ系早生品種のブライトは旬を過ぎたと思われて、注目が集まらない時期だが、あえてお客様に「ブライトウエルがとっても美味しくなっているので、一度味わってみてください」とおススメすると、「わ、、美味しいねぇ~、、教えてくださって、ありがとう」とみなさん口をそろえておっしゃるほど塾期後半の美味しさは際立っている。ブルーベリー品種群の中でも1,2を争う美味しさだ。

 

【収穫量・育てやすさ】

収穫量は、多い。太い枝に無数に実る果実は壮観。

育てやすさもまったく問題がない。もう2006年定植なので、早15年ほど経過したので、さすがに溢れんばかりの若々しさはなくなったが、ナイスミドル、あるいはアクティブシニアといったところで、ほとんど枯れなることはない。唯一気になるのは枝枯病(春先に枝が黒ずんで枯れる病気)が頻発することくらいか。これも致命的なものではなく、病気の部分をまめに切除すれば、大きな被害にはつながらない。新品種を導入しようとすると、既存のブルーベリーがある程度枯れないとスペースを確保できないが、ブライトは枯れることがほとんどないので良い意味で当てにできない品種だ。比較的太い新梢が多く、マッチ棒のような小枝も少ないので剪定も時間がかからない。

雨の裂果にも耐性が認められる。1日程度の雨なら持ちこたえる。ただ2,3日降り続く雨になるとさすがに裂果は避けられない。また、前述の通り熟期初期から甘くて美味しい品種なので、観光農園だけでなく収穫出荷を主体にする農家にとっても完熟期を見極める必要がない分、ラクな品種だ。

最後に、これはしっかり観察したわけではないので、まだはっきりしたことは言えないが、ラビットアイ系は他家受粉(異なる株との交配が必要)で、ミツバチ等による受粉が必要だと一般的に言われている。しかしならが、以前ハウス内に放置しておいたブライトがハチもいないし、風もほとんど吹かないのに、ちゃんと結実してたくさん実った。これは事実だが、これでは他家受粉が本当なのかと疑いたくなる。よく「受粉が上手くいかずに今年は収量が少ない」というコメントをする方をよく見かけるが、ブルーベリーはかなり安定的に受粉してくれるような気がするので、何か他の要因ではないかと推測する。

(2022年追記)
この年は例年の1/3~1/4くらいしかハチが来なかった。ブライトはハチがあまり好まないのかほとんどハチが寄り付かない品種。にもかかわらず、例年通りしっかり受粉完了した。だからブルーベリーの授粉にハチは必須ではないことを確信した。

 

【収穫期】

ラビットアイ系の先頭バッターであるクライマックスプレミアウィトゥとほぼ同時期であるが、微妙に1,2日遅れる。だからラビットアイ系の一番果にはならない。

 

【最後に】

以前はティフブルーがラビットアイ系の世界の標準品種だったが、このブライトウエルが誕生したことによりその座が交代した。そのくらい欠点が少ない素晴らしい品種だ。あえて言うと熟期が7月なので、梅雨の後半と重なり、2019,2020年にのように7月の降水量が多い年は、本領発揮できない点。交配親がティフブルー×メンデイトなので、パウダーブルーやコロンブスと兄弟品種。ティフブルー、ブライトウエル、パウダーブルーは親子関係にあり、その特性がよく似ているので、パウダーブルーのページに比較表をつくってみたので見てほしい。
→パウダーブルーのページへ

続々と新品種が登場して、次第にその存在感は低下していくだろうが、もうしばらくは世界の標準品種として活躍するだろう。
(1983年 ジョージア発表)

 

 

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