ティフブルーラビットアイ
収穫時期 | 7月中旬から8月上旬 |
果実サイズ | |
甘味レベル | |
酸味レベル | |
育てやすさ | |
収穫量 | |
栽培開始時期 | 2006年 |
栽培本数 | 40 |
【総評】
1955年発表のクラシックな品種だが、いまだにラビットアイ系の標準品種のひとつとなっており、その存在感は揺らいでいない。育てやすさと果実品質は秀逸で、これを圧倒的に凌駕する品種はまだ出現していない。ブライトウエルとティフブルーがラビットアイ系の2本柱だ。ただ私なりに欠点は3つあると考えており、その点ではブライトよりも若干劣るかもしれない。欠点は後述する。ティフブルー、ブライトウエル、パウダーブルーは親子関係にあり、その特性がよく似ているので、パウダーブルーのページに比較表をつくってみたので見てほしい。
→パウダーブルーのページへ
【サイズ・美味しさ】
サイズは中粒。樹勢が強く豊産性であるため、ついつい着果数が増えてしまうので、中粒。これについては、着果制限をすればある程度解消してサイズは大きくなると思われる。
美味しさは、成熟期初期は味がのらない。やや酸っぱい感じがする。同様に成熟期初期に味がのらない品種にブルーマルがある。マルは成熟期初期はエグミがあってとても食べられたものではないが、ティフはそこまで酷くない。晴天が続けは色づいて4,5日あれば味がのてくるので、さほど心配したことはない。色づいて1週間から10日あれば完熟果として最高ランクの美味しさになる。
【収穫量・育てやすさ】
収穫量はたいへん多い。それも不作、豊作というバラつきなく安定的に多い。
育てやすさも抜群。ハイブッシュ系は着果制限をかなり丁寧にしていかないと翌年に一気に樹勢が弱る品種が多いが、ティフには当てはまらない頼もしい存在。虫もつかないし、病気もほとんど発生しない、従ってほとんど枯れることがない。
果実品質も最高。ラビットアイ系は一般的には夏の猛暑にも耐えられるが、それでも長期間(2週間以上)高温が続くと果実品質が劣化してくるものがいくつかある。ノビリス、マルがそれに該当するが、果実がシワシワ、あるいは柔らかくなってしまって商品価値が下がる。シワシワの実は、干しブドウのように意外にも甘くて美味しいのだが、見た目が悪く、店頭売りなどはできない。その点ティフは1か月程度雨がほとんど降らずに高温が続いても、まったくへこたれずに果実品質を保持できる頼もしい存在だ。ラビットアイ系の標準品種になっているのは、伊達ではない。
あと、これは欠点だが、雨には弱く裂果はしやすい。理由は何度も言っているように房なりする品種は裂果に弱い。ティフは豊産性でブドウのように房なりする。ただ当初考えていたほどのまったく雨がダメではなく、1日くらいの雨ならさほど心配ないが、2,3日降り続くと裂果が止まらなくなる。
(2022年追記)
ここ3年ほど雨が多い夏が続き、この品種の本来の良さが発揮できていないのが残念。
【収穫期】
7月上旬から中旬頃から収穫期。よくティフをラビットアイ系の晩生品種に分類している解説をよく見かけるが、どう見ても晩生ではなく中生。この農園では、ブライトウエルまでをラビットアイ系早生品種サイトに分類し、それ以降の品種はラビットアイ系中生・晩生品種サイトに分類しているが、この中でティフは先頭バッターである。暖かい年であれば7月上旬から8月お盆まで1か月半ほど果実品質を保ったままお客様を楽しませてくれる有難い存在。
【最後に】
総評のところで書いた欠点3つは、整理すると①サイズはやや小さい②完熟に少し時間を要する③雨に弱い、ということになる。しかしながらいずれも致命的な欠点ではなく、際立った長所がいくつもあるので、この品種は絶対的な存在感がある。近年オープンしたブルーベリー観光農園の中には、まだ評価の定まらない新品種を多数導入しているところをよく見かけるが、疑問を感じる。趣味の世界なら別だが、経営することを考えた場合、既存品種の中から優秀な品種を選抜して基幹品種に仕立てた農園の方が経営的にも安定するし、お客様も喜ぶと考える。
(1955年 ジョージアで発表)