フクベリーラビットアイ
収穫時期 | 7月中旬から8月上旬 |
果実サイズ | |
甘味レベル | |
酸味レベル | |
育てやすさ | |
収穫量 | |
栽培開始時期 | 2012年 |
栽培本数 | 18 |
【総評】
超晩成種というのがアピールポイントに魅かれて導入した経緯だが、晩成という意味では期待外れの一方、予想しなかった「極上の美味しさ」に遭遇した。ラビットアイ系では№1の美味しさか。
【サイズ・美味しさ】
サイズ的には、やや大きい。豊産性の割には、粒ぞろいで大きいサイズが揃っている点は評価できる。
美味しさは、特筆すべきものがある。まず皮が薄くて種が気にならず口当たりは上々。そして一番の良さは、甘さの中に酸味がピリッと効いている点で、お口にほお張ったときに、何とも言えない切れのある美味しさが口中に広がる感じ。うちの農園のラビットアイ系は、どれもと糖度が高く「まったりした甘さ」になる。その甘さは重要だが、ただ甘いだけではだんだん飽きてくる。砂糖だけ食べても、甘いとは感じるが、美味しいと感じないのと同じだ。
その点、フクベリーには、程よい微妙な酸味が効いていて、美味しいだけでなく、お客様を飽きさせない。美味しさの評価にはいろんな観点ああると思うが、個人的には、「酸味の効いた甘さ」がイチバンではないかと考えている。酸味が甘さをさらに引き立てる感じがする。そういう意味では、ラビットアイ系では、このフクベリーとメンデイトが「酸味の効いた甘さ」の2大品種で、美味しい品種の代表格という評価をしている。
【収穫量・育てやすさ】
収穫量は多い。下の写真で樹全体が写っているものを見てもらえばわかように、たわわに実る。
育てやすい方だが、誰でもカンタンに育てられるほどではない。品種登録された福田氏によれば、自分の農園の実生株で、ウッタード×ティフブルーの交配から生まれたのではないかと福田氏は推定している。御三家であるウッタードとティフブルーが親だとすれば、育てやすく豊産性は納得がいく。ただティフブルーほど手がかからず勝手に育ってくれるほど安心感はない。10本育てたら1,2本は脱落する感じ。
【収穫期】
これが謳い文句の「収穫期が9月上旬がピークの超晩生品種」とはまったく異なる。この農園では、7月中旬から始まって、7月下旬から8月上旬がピーク、お盆前にほぼ無くなってしまうようなスケジュールで成熟が進んでしまう。いくら環境や育て方が異なることで、1か月以上も収穫期ピークが異なってしまうものだろうか、いささか疑問だ。うちの農園では、ラビットアイ系の中では、晩生ではなく、中生という位置づけ。
ちなみに閉園する8月下旬までしっかり実を付けてお客様を楽しませてくれる晩生品種は、バルドウィン、メンデイト、ラヒの3品種のみ。晩生という位置づけのオクラッカニー、オンズローは8月中旬で終わる。ディソットは現在試作中。
(2022年追記)
ラビットアイ系の中での美味しさは上述の通り。ただここ3年ほど7月8月に雨が多くその本領の美味しさを発揮できずにいる感じがする。晴天続きの後に、ぜひ食べていただきたい。
【最後に】
総評に書いた通り、超晩成種というアピールポイントに魅かれて導入。8月中旬から下旬のシーズン最終盤を補強する意味で導入したが、その点においては、まったくの期待外れ。期待よりもずっと早く成熟期を迎え、お盆前に完全になくなってしまう。しかしながら、その期待とは裏腹に、想定外の「極上の美味しさ」に出会えた。数少ない日本で登録された品種。